大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)の休場で、7人の上位陣のうち3横綱2大関が不在という異常事態。

 そんな“秋風”が吹き始めた感のある場所にも、協会幹部は残された力士たちの奮起に期待した。

 照ノ富士の休場に、協会トップの八角理事長(54=元横綱北勝海)は「残念だけど仕方ない。出ても、力の入らない相撲を取っては、それも失礼なこと」と話した。三役への陥落が決定的な大関には「きちんとした状態で良くなれば(大関復帰の)2桁勝つ力はある。とにかく膝を治すこと」と話し、ファンに対しては「遺憾ではある」と協会あいさつで述べた「初日と同じ」とし「力の違いはあっても相撲の醍醐味(だいごみ)は序二段でも三段目でもあるのだから」と館内を沸かす全力相撲に期待した。

 東の支度部屋から、本来なら4人いるはずの横綱、大関全員が姿を消す事態。過去には残された西の横綱、あるいは大関を東に回す措置が執られたこともあったが、審判部の二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「それはしない」とし、横綱・大関5人不在の状況を「さびしいね。(ファンに)申し訳ないな」と嘆いた。横綱・大関戦も、全員皆勤なら19番あるはずが、これで千秋楽結びの日馬富士-豪栄道戦しか組まれないことになる。また、平幕の前頭5枚目前後まで下げて上位戦を組まなければならず、取組編成の最高責任者の同部長は「後半戦の割(取組)を作るのが大変ですよ」と苦笑いするしかなかった。