西前頭筆頭の貴景勝(21=貴乃花)が大関高安を破り、4勝2敗とした。押し相撲一筋の若手成長株が、幕内屈指の圧力をはねのけ、押し出しで勝った会心の一番だ。日馬富士、稀勢の里の2横綱に続いて大関も撃破。休場中の貴ノ岩の弟弟子の勢いが止まらない。

 高安のかち上げに負けず、貴景勝が前に出る。激しい立ち合いから突いて、押す。高安の動きを見極め、体を左にずらした後、満を持して押し出した。会心の一番を「夢中だったから、あまり覚えてない。やったこともないことはできないので、出せる力を全部出そうと…」と振り返った。

 日馬富士、稀勢の里からの金星2つに続く上位食いだが、浮かれていない。「横綱、大関が力を出せなかったかもしれないし、自分が強くなったのかもしれない。勝ち負けの世界だから、星が上がるのはいいことですけど」。勝ち負けじゃない。一喜一憂しない。師匠貴乃花親方(元横綱)の教えを実践する。

 今場所よく口にするセリフが「考えたら脳みその回転が悪くなる」だ。「体の筋肉を動かしてるのは、全部脳みそですから」。無心で、稽古でやったことを全部出す。真っすぐな貴景勝が、土俵を熱くする。