これまで多くのメディアに無言を貫く貴乃花親方(元横綱)の考えが、日本相撲協会危機管理委員会の聴取を踏まえた報告書から浮かび上がった。

 重い処分が決議された主要因に、危機管理委による自身や弟子の十両貴ノ岩の聴取要請を再三断ってきたことがある。自身は25日にようやく応じたが、「弟子である貴ノ岩と一体だと考えていたので、2人一緒に協力すればよいと考えていた」との説明が記された。

 11月30日の経過報告の会見で、貴乃花親方は警察の捜査が終了した段階で、貴ノ岩の聴取に応じるとされたが、12月11日の元横綱の書類送検後も拒否し、実現は19日だった。理由については、警察の後で検察の捜査があることを知らなかったとの見解が報告された。

 貴ノ岩が秋巡業中に事件性も疑われる負傷をしたことを、速やかに相撲協会に報告しなかったと指摘された。「貴ノ岩ではなく、別の部屋の力士であったら報告したかもしれないが、自分の弟子のことだから調べようと思い、すぐには報告しなかった。事態の把握をしなければ協会には報告のしようもなかった」との主張だった。

 報告書では、10月26日に事件発生を知り、同29日の鳥取県警への被害届提出まで貴乃花親方自らが事情を把握できなかったとした。このことについては「貴ノ岩が私に話せない事情があったのではないか。親方としては、弟子の言うことを信じてやらなければならないと思った」との発言があったという。