泥酔した上でのセクハラ行為が表面化した式守伊之助に対し、日本相撲協会は厳しい姿勢を示した。元日馬富士関の暴行問題で角界の信用が著しく失墜した中、新たな不祥事防止に向けて強い姿勢を示した格好だ。

 セクハラ行為を受けた若手行司は警察に被害届を出す意向がなく、協会は伊之助への処罰感情がないことを保護者への調査で確認。それでも角界内部では辞職願の有無にかかわらず辞任を促す声が相次いだ。

 今回の行為は、暴行問題で世間の厳しい視線を浴びる中、協会員全員が行動を律すると誓った冬巡業中に起きた。あまりに当事者意識を欠いた行動として、執行部はこの点を重視した。また、これまでも飲酒にまつわるトラブルがあったことも考慮したとみられる。

 ある理事は「次に大きな騒動が起きたら、角界はどうなるか。負の連鎖だけは絶対に避けたい」と危機感を口にする。辞職願を保留し、3場所の出場停止処分を科した上での受理という厳罰は全体に“にらみ”を利かせるために必然でもあった。理事会はわずか30分で終了。現役最高位である立行司の土俵人生は最悪の形で幕を閉じた。