再起をかける人気のベテラン力士に、再び試練が訪れた。東幕下5枚目まで番付を上げた関脇経験者の豊ノ島(34=時津風)が、今場所の1番相撲で、西幕下4枚目の明瀬山(32=木瀬)と対戦。寄り切りで敗れた一番で、左ふくらはぎを痛めた。

 立ち合い、胸で当たり突き放しながら、差し手をうかがった。中にもぐれず、突き放しで勝機を探ろうとした流れの中で「ボコッと音がした」と豊ノ島。左ふくらはぎを肉離れしたようだ。それでも「相手は(攻めて)くるし対応しないといけないと思った。『頼むから違和感が出るなよ』と思ったけど(土俵に)立っている間に変な違和感が出てダメだと。力も抜けて、もう無理だと」と観念し、最後は力なく土俵を割った。

 寄り切られて俵の外に出ても、しばらくは動けず、花道を引き揚げる際は、左足を浮かせられず、ひきずりながら歩を進めた。

 支度部屋で汗を流し、マゲを結い直し、部屋へ戻る帰路の通路で歩きながら取材に対応。昨年3月、春場所初日を4日後に控えた稽古で右ふくらはぎを痛め、1番相撲は不戦敗。5日目の3番相撲から復帰したが結局、1勝5敗1休に終わった。「去年、大阪で右(ふくらはぎ)をやった時と同じ箇所、同じ感覚」と内出血の痛みからか、顔をしかめながら話した。

 今後はアイシングなどで様子をみるが、前回の右足の時はケガから本場所の土俵復帰まで8日を要した。今回も途中休場を「考えないといけない」と無理はできない状況。「焦らずしっかり何とか治療して、少しでも回復させて(相撲を)取れるようにしたい」と祈るような気持ちで話した。