元横綱日馬富士関の傷害事件の被害者で西十両12枚目貴ノ岩(28=貴乃花)が、同11枚目志摩ノ海を押し出しで破り、初日から2連勝を飾った。初日の十両翔猿は素早い動きが特徴の相手だったが、この日は体重153キロのどっしりタイプ。立ち合いは冷静に見極めていた初日とは違い、右肩から激しくぶつかって突き放し、突き押しでじりじりと土俵際に追い込んで完勝した。

 2場所連続全休のブランクを、全く感じさせない相撲内容だが「必死ってことだけを頭に入れてやりました」と無我夢中だった。師匠の貴乃花親方(元横綱)はこの日朝「久しぶりの土俵の感覚を少しずつ、つかんでいければ」と話したが、感覚は取り戻しつつある。

 初日に会場裏の出入り口から入り、協会から注意を受けたが、この日は正面入り口から会場入り。多くのファンから、拍手と声援で迎えられた。土俵入りでも人一倍大きな声援を受け「一生懸命頑張ります」と感謝した。通算出場600回の節目を白星で飾り「ここから頑張ります」と気を引き締めた。【佐々木隆史】