横綱鶴竜(32=井筒)が自己新となる11連勝を決めた。幕内最重量215キロの小結逸ノ城のまわしを、薬指脱臼の完治していない右手でつかみ、力強く寄り切った。

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 鶴竜からすれば頭をつけた狙い通りの相撲だったろう。逸ノ城に肩越しに上手を与えても、頭をつけた低い姿勢を保てたから、慎重に落ち着いて攻められた。まわしの引きつけも強かったな。相撲の流れがいい。11連勝で、これまでの壁を乗り越えたのは大きい。逆に逸ノ城は、上手を取ってからの攻めが遅い。大きな体を生かせないのは、これからの課題だ。鶴竜に2差と苦しいが、高安も栃ノ心という難関を突破した。相手にまわしを触らせまいと、徹底して攻め続けたことが自分を救った。攻撃は最大の防御なり、を地でいく相撲だった。終盤戦に入り、番付上位のこの2人にスイッチが入った感じだ。やはり優勝争いの鍵を握るのは高安だろう。可能性は薄いが、大関の責任で最後まで優勝争いの興味をつなぐということで、豪栄道の奮起にも期待したい。(日刊スポーツ評論家)