大相撲春場所で4度目の優勝を飾った横綱鶴竜(32=井筒)が千秋楽から一夜明けた26日午前、大阪市内で会見した。

 「こんなに目覚めのいい朝はないですね」。「正直、優勝は全く考えていなかった。つらかった時期も応援してくださった人を喜ばせたいだけでした」。

 16年九州場所で3度目の優勝を飾って以降、両足首、腰、右手薬指など度重なる故障で昨年九州場所までの4場所連続を含む5場所で休場した。絶望のどん底から、8場所ぶりの復活劇。人の良さそうな笑顔に、充実感が浮かんだ。

 ただ相撲については「内容はよくなかった」と振り返る。先場所千秋楽で脱臼した右手薬指の影響が大きい。完治に至らず初日を迎え、さらに7日目の貴景勝戦で悪化した。ただ、場所前から理想とする「まわしをとる相撲」でなく「まわしをとらない相撲」を想定して稽古を積んだ。結果として引く、はたく相撲が増えた。「迷いなく相撲は取れた。それはよかった」と“悪い癖”が織り込み済みだったことで、土俵際の粘り、うまさを発揮し、白星につなげていけた。

 「理想的と言えば、先場所の(初日から負けなしの)10日間でしょう。すごく良かった。来場所ではああいう相撲を取りたい。1年間苦労した分、それ以上、応援してくれた人を喜ばせたい。さらに進化した姿を見せたいですね」。春巡業は最初から参加する予定。右手薬指の様子を見ながら、夏場所(5月13日初日、両国国技館)への準備を進めていく。