大相撲の春巡業は12日、埼玉・草加市で行われ、6場所連続休場中の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が合流した。

 稀勢の里の巡業参加は昨年10月以来、約半年ぶりとなったが、稽古では早速、先場所十両優勝の佐田の海を指名して10番。8勝2敗と地力の差を見せつけた。

 取組では3月の春場所優勝の横綱鶴竜に敗れたが「(観客に)温かく迎えてもらって、ありがたかった。この巡業で、しっかりと体をつくっていきたい。15日間しっかり戦えるように心と体を鍛錬していきたい」と、本場所復帰への意欲を見せていた。

 観客の前で相撲を取るのも、途中休場した1月の初場所以来、約3カ月ぶりとなった。「脚は元気だから」と、全休した春場所中には四股やすり足など、基礎運動で稽古を再開していたという。それでも「部屋では若い衆とやっていたけど関取衆は圧力も全然違う」と、相撲勘に徐々に取り戻していくつもりだ。

 胸を借りた佐田の海は「重かった。いい形をつくることができたと思っても動かなかった」と証言した。稀勢の里が昨年初場所後に横綱に昇進してからは、初めて胸を借りたというが「なかなか差し勝てなかった。左を差されると何もできなかった」と、稀勢の里が得意とする左四つに組み止められると、勝機を見いだすのは難しかったと語った。

 稀勢の里は出場については明言しなかったが「まだ5月13日の初日までは時間はある」と、夏場所(両国国技館)での復帰を視野に入れている様子だった。