大相撲夏場所(東京・両国国技館)は今日13日、初日を迎える。大関とりのかかる関脇栃ノ心(30=春日野)は12日、同所で土俵祭り、初優勝を飾った初場所の優勝額贈呈式に出席した。優勝額は国技館の天井四方に飾られる。13年初場所以降の優勝力士による32枚の中の1枚だけに「夢でした」と大感激。もう1人の自分の前で大関とりの条件になりそうな10勝以上、そして2度目の優勝を狙う。

 192センチの大男が自分の写真を見上げた。「思ってたより、でかいね」と言い、栃ノ心が笑う。縦3メートル超、横2メートル超。初の賜杯を抱いた初場所の優勝額は国技館内、天井の東側に飾られる。13年初場所から春場所まで32場所の優勝力士だけの名誉で、白鵬、引退した日馬富士、鶴竜、稀勢の里、豪栄道、琴奨菊、照ノ富士、そして自分だけだ。「夢でした。みんな、夢なんじゃないかな」と感激を隠せなかった。

 大関昇進の目安は「直近3場所を三役で計33勝以上」とされる。栃ノ心は初場所14勝、春場所10勝。数字上の条件は9勝以上で満たせるが、初場所が西前頭3枚目の平幕だった点を思えば、何としても10勝以上は欲しい。春場所13日目の正代戦で痛めた右肩の影響で完璧な仕上がりではないが「大丈夫です。下半身はいい感じだし」と言い、戦闘態勢は整った。

 初日は東前頭2枚目松鳳山戦。初場所14日目に優勝を決めた相手だ。「やってみないとわからないけど、勝つ気持ちしかないです。写真を見ると気合が入る。1月場所を思い出して、思い切りぶつかりたい」。ハリウッド俳優ニコラス・ケイジ似の男は、額の写りも「いいんじゃない?」とご満悦。もう1人の自分に見守られ、勝負の土俵に上がる。【加藤裕一】