大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。昨年10月、弟子の貴乃岩が被害者となった横綱日馬富士による傷害事件に端を発した激動の1年を振り返る。

◆横綱日馬富士の貴ノ岩暴行発覚(17年11月14日) 鳥取巡業中の10月26日未明、酒席で日馬富士が弟子の貴ノ岩に暴行を加えたことを受け、同29日に巡業部長の貴乃花親方が鳥取県警へ被害届を提出。11月5日に貴ノ岩は福岡市内の病院に入院。同13日に「右中頭蓋底骨折」などの診断書が公表されていた。

◆事情聴取拒否(同11月22日) 日本相撲協会執行部から貴ノ岩への危機管理委員会の事情聴取を要請されたが「お断りします」と拒否。被害届も「取り下げるつもりはない」。同29日に日馬富士は協会の処分決定を待たずに引退届を提出し、同日引退を発表した。

◆史上初の理事解任(同12月28日) 協会の臨時理事会で、巡業部長でありながら日馬富士の暴行事件の報告を怠り、危機管理委による貴ノ岩への聴取の要請を拒否し続けたとして、役員待遇委員への2階級降格となる理事解任を評議員会に諮ることが決定。18年1月4日の評議員会が全会解任決議を承認した。

◆理事候補選挙で大敗(18年2月2日) 定員10人に対して11人が立候補した理事候補選挙に貴乃花一門から、阿武松親方(元関脇益荒雄)とともに初めて2人で立候補。阿武松親方は8票を集めて当選したが、貴乃花親方はわずか2票の得票で最下位で落選した。

◆内閣府に告発(同3月9日) 部屋のホームページ(HP)で日本相撲協会を監督する内閣府の公益認定等委員会に告発したと発表。理事を解任されたことや、同事件への協会への対応について「重大な疑義が生じています」と訴え、同委員会に立ち入り検査や適切な是正措置を求めた。

◆貴公俊が付け人暴行(同3月18日) 春場所で貴乃花部屋の東十両14枚目の貴公俊が、敗れた取組後、支度部屋で付け人の序二段力士の顔面を複数回殴った。出番の時間を誤って伝えられ、土俵下の控えに駆け込んだが、審判長に注意されたことで、怒りの矛先が付け人に向けられた。

◆告発状取り下げ(同3月23日) 貴公俊の付け人への暴行を受け、翌19日の臨時役員会合で八角理事長(元横綱北勝海)に謝罪。同23日には内閣府公益認定等委員会に提出していた告発状を取り下げる意向を示し「一兵卒として出直して精進します」と話した。同28日の臨時年寄総会でも全面謝罪した。

◆年寄降格(同3月29日) 協会の理事会で貴公俊の暴力問題の監督責任などを問われ、親方衆の階級で最も低い「年寄」への降格が決まった。1月の理事解任から3カ月で5階級降格で、元横綱の年寄降格は金銭問題を起こした輪島(当時花籠親方)以来33年ぶり。なお新体制では審判部に配属された。

◆貴乃花一門返上(同4月19日) 自ら立ち上げた貴乃花一門について「一門は返上しますので、ご検討くださいと伝え、受け入れていただいた」と、1週間前の一門の会合で返上を了承されていた事実を自ら明かした。6月には自ら貴乃花一門を離脱し「阿武松グループ」への名称変更を協会執行部に申し入れていることも判明。

◆救急搬送(同8月21日) 夏巡業が行われていた秋田県立体育館で倒れ、秋田市内の病院に救急搬送された。若手力士の指導中に体調が悪化し、「けいれんを発症して意識がない」と消防局に通報があった。24日に検査に問題はなく、熱中症を起こしたようだと、親交のある会社のHPにコメントした。