大相撲の前頭貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が4日、元横綱日馬富士関を相手に2413万5256円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴した。貴ノ岩は昨年10月、秋巡業中の酒席で元日馬富士関から暴行を受けて負傷。昨年九州場所、今年初場所と2場所連続で全休、今年7月の名古屋場所まで十両に番付を落としたことによる、給与差額や懸賞金の逸失など逸失利益のほか慰謝料、入院治療費などを含めた総額として求めた。

この日、貴ノ岩の代理人弁護士3人が、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、事情を説明した。元日馬富士関側からは当初、30万円で示談を打診され、貴ノ岩側は6月に概算で3000万円程度と算出。双方には100倍もの金額の開きがあった。貴ノ岩側の佐藤歳二弁護士は「市民生活を送るなら数十万円かもしれないが、プロ選手の選手生命が危ぶまれるけが」と主張。内訳で最も高額な900万円の「懸賞金の逸失」は、1場所60~70本(1本6万円で計算)の懸賞を平均勝率の49%で、幕内不在だった5場所を過ごしたと仮定した金額だという。

不調に終わった先月の調停で元日馬富士関側は50万円を提示したが、貴ノ岩側は「もはや話し合いによる解決はできないと判断」と今回の提訴に至った。今後、貴ノ岩本人、退職した元師匠の元貴乃花親方が証人として出廷する可能性について、佐藤弁護士は「あり得る」と否定しなかった。