西前頭筆頭の北勝富士(26=八角)が、横綱稀勢の里を破って、自身5個目の金星を獲得した。白鵬を破った今年初場所以来の金星。理事長でもある師匠の八角親方(元横綱北勝海)に、久しぶりに懸賞金を渡せることを喜んだ。

徹底的に右から攻め立てた。のど輪を交えながら、右のおっつけで稀勢の里の左を封印。途中、相手の左腕をたぐって回り込むなど足も使った。腰をぐっと落として勝機を見いだし、最後は左ののど輪で上体を浮かせ、右の突き落としで横綱を転がした。「あれしかなかった。右から攻めないと。右のおっつけというイメージだった」と終始、狙い通りの相撲だった。

21本の懸賞金を手にした。これまでも多くの懸賞金を手にしてきたが、横綱戦は特別だ。「久しぶりに師匠に渡せる」。16年九州場所で初めて懸賞金を手にして、八角親方に渡した際に「大丈夫。横綱に勝ったらくれ」と言われたという。以降、渡すのは横綱戦に勝った時だけで、今回は初場所以来10カ月ぶり。「弟子が言うのも変だけども親方もいろいろと大変。恩返ししたい。部屋を盛り上げたい」と師匠を気遣った。

今場所ようやく初白星を挙げた。初場所は金星を挙げながら11敗。それだけに「そういうことがないように明日から気を引き締めたい」と意気込んだ。前頭筆頭も初場所以来2度目。この勢いで今場所こそ勝ち越して、新三役を射止める。【佐々木隆史】