東前頭13枚目阿武咲(22=阿武松)が1敗を守って中日を迎える。東前頭16枚目荒鷲(32=峰崎)を押し出しで下して6勝目。全勝だった小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が初黒星を喫し、優勝争いの首位に並んだ。

鋭い出足で荒鷲の胸に右手を押し込んだ。動きを止めると、その流れでのど輪。足を止めずに一気に押し出す、阿武咲の盤石な相撲だった。「負けた一番を除いて下半身で相撲を取れている。今日も怖がらず前にいく相撲が取れた」と、言葉を並べた。

けがを乗り越えてきた。小結だった今年の初場所9日目に、右膝後十字靱帯(じんたい)を損傷して休場。十両優勝などで番付を戻してきたが、今場所は「けがをしてから一番状態が良い」と手応えを感じている。「頭で考えていない時でも足が出せている。感覚が戻ってきている」。ちょうど1年前、同い年でライバルの貴景勝よりも1場所早く三役を射止めた。「過去を捨てて初心に戻り、いま自分ができることだけをやっている」と、22歳らしからぬ落ちついた口調で語った。