大相撲で元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)が10日、東京・両国国技館で行われた大相撲トーナメントにゲスト解説者として出演し、上々の解説者デビューを飾った。

現役時代の晩年は寡黙な印象が強かったが、この日は冗舌そのものだった。現役時代に対戦した幕内力士の取り口を説明。「嘉風はよく考えながら相撲を取っている。とてもやりにくい」「松鳳山は力強さがある」「今のはいい左のおっつけが出ましたね」。初解説とは思えない落ちついた語り口を披露した。

同部屋の高安に対しては、言葉に熱がこもった。大関陣で唯一、場所での優勝経験がない弟弟子に「左四つも右四つも突き押しもできるけど、これってものを鍛えてほしい」と、絶対的な武器を身につけることを求めた。その中で荒磯親方が推奨するのが左四つ。「左四つを磨けば安定感もついて上を目指せるのでは。(稽古場でも)僕はこれが非常に嫌でした」と明かした。その高安は大相撲トーナメントで初優勝。決勝の嘉風戦では、荒磯親方が絶賛した左四つで寄り切った。【佐藤礼征】