大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付が25日に発表され、北勝富士(26=八角)が西小結の地位につけて、新三役となった。

この日、大阪・羽曳野市に構える部屋の宿舎で会見に臨んだ。三役に上がり、番付表に載るしこ名の文字が大きくなり「いちばん下(前相撲)から始めて、見えない文字から大きくなって喜びを実感することができた」と笑顔を見せた。

念願の新三役だ。17年名古屋場所から4場所連続で幕内上位に食い込み、同年九州場所では西前頭3枚目の地位で11勝4敗を挙げたが、運もなく三役には上がれなかった。「三役は普通じゃなれない。人数も決まっていて、運もある。高い地位だと幕内の身から感じていた」。番付上昇へ足踏みする中、貴景勝や阿武咲の若手が新三役を果たし、焦りもあった。昨年夏場所には頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアなどで休場を余儀なくされ、番付は幕内最下位まで陥落。「自信をなくしかけた」時期もあったという。それでも、小学生の時に指導を受けた入間少年相撲クラブの西沢正夫総監督などから「番付が落ちても幕内は幕内。『自分はもっと強い』と自信を持っていい」と、励ましの言葉をかけられた。「不安になって自分で自分を追い込むこともあったが、自分は強いと思えるようになった」と北勝富士。気持ちを持ち直し、押し相撲を磨いて新三役を射止めた。

同郷力士と地元を盛り上げる。埼玉県出身力士の新三役は、59年春場所の元関脇若秩父以来60年ぶりで、戦後では3人目。埼玉出身の力士は他に大栄翔、阿炎が幕内にいる。「3人でよく食事に行くが『埼玉をもっと盛り上げられたら』という話もしている」。一方で昨年初場所で新入幕を果たした阿炎が、一気に番付を上昇させる姿を見て「先を越されるかと思っていた」と当時の心境を吐露。「年上の威厳を見せられて良かった」と話し、いたずらっぽく笑った。

昨年は若手の御嶽海、貴景勝が初優勝。北勝富士も春場所へ「それが夢じゃなくなってきている。誰でも優勝する権利を持っている」と、初賜杯へ鼻息も荒くした。