ケガや内臓疾患のため、4場所連続全休し大関から西序二段48枚目まで番付を落とした照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、無傷の5連勝とした。

この日の相手は、ちょうど1年前に初土俵を踏んだ16歳で、173センチ、111キロの同61枚目・大雄翔(追手風)。これまで“重量級”の相手が続き、取組時間も短かった照ノ富士は、あることを試した。胸を出しながら攻めることは控えめにし、相手の動きについていくこと。ただ、少しばかり抵抗にあい「(相手は)めっちゃ必死だった。途中からメチャクチャ残るし。危ないとは思わなかったし余裕もあったけど、足が動かなかったなぁ」と柔和な笑みで振り返った。

ぶつかり稽古のように相手に正対しながら胸を出し、突きや押しを胸で受け止める。引きやいなしで回られても、慌てずに対応した。「普通に左(前まわし)を取って出せると思ったら、取っても(まわしを)離されるし。今日は相手を動かして、ぶつからせようと思ったけど、全く動く相撲を1年以上も取ってないし、ちょっと体が動かなかった」。本場所の土俵で、普段は部屋でできない稽古をイメージして取った。

今場所の復帰自体、狙いは感覚を取り戻すためにある。今場所は「最初(の1番相撲)から、すぐに終わる相撲ばかりだった。どっちかというと自分は長い相撲。だから、やってみようと」。本人の言葉通り、今場所は1番相撲から5秒、8秒、7秒、14秒と取組時間も照ノ富士としては短めだったが「試した」というこの日は35秒を費やし「久しぶりに稽古をした感覚だったね」と、土俵をたっぷり堪能? 最後は「このへんで決めようか」と余裕ではたき込んだ。

全勝力士も絞られつつあり、残りは2番。これも無難に乗り切れば、各段優勝の表彰式、もしくは優勝決定戦に臨むにしても、千秋楽の満員の土俵で本場所復帰した姿をファンに見せられる。ちょうど2年前、大関として本割、優勝決定戦で新横綱の稀勢の里(現荒磯親方)に敗れた大阪の土俵。幕内と序二段という“格差”こそ大きく違えど、復帰を待ち望んでいたファンは期待して千秋楽を迎えたいところだろう。