大関昇進を目指す関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)の前に、42度目の優勝を狙う横綱白鵬(34=宮城野)が立ちはだかった、熱戦の結びの一番を、協会幹部も高く評価した。

協会トップの八角理事長(55=元横綱北勝海)は、立ち合う前は「白鵬は、つかまえさえすればと思っているだろうが、そうは今場所(の貴景勝)はいかないか」と立ち合いに注目。取組後は、やはり勝負を分けたポイントととして立ち合いを挙げ「白鵬は貴景勝の最初の出足を止めたのが一番(の勝因)だろう」、右かち上げで突進を止めた白鵬の立ち合いを第1の勝因に挙げた。その後の流れ、攻防も「途中で腰が浮き気味になったが、うまくいなしている」と評価。優勝争いは1差で平幕の逸ノ城(25=湊)が追う展開だが「こうゆう元気な人に勝つと(優勝に向けて)よしっ! と思うだろうね」と胸中を察した。

正面土俵下で審判長として目を光らせた、阿武松審判長(57=元関脇益荒雄)は、立ち合う前の仕切り中からも白鵬から発せられる気迫を感じたそうだ。「何としても勝つという気迫が(仕切りから)ありました。突き起こされ、土俵際に持って行かれても、絶対に勝つという気持ちが見て取れました」という。審判という勝負を判定する立場上、細かい目線では取り口を見られないが「押されても押されても、まわしを取ることだけに集中していたのでしょう。細かい部分は見られないので軽はずみなことは言えませんが、今日の相撲は、こん身で当たった両者ともに素晴らしかった」とほめていた。