大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が「敢闘精神にあふれたで賞」を、文句なしで受賞した。日本相撲協会は本場所中、来場者や協会公式アプリの有料会員から幕内、十両の「敢闘精神あふれる力士」としてアンケートを募っている。6場所90日のうち、貴景勝が幕内1位を23回獲得して最多。さらに1位を3点、2位を2点、1位を1点で算出しても、唯一の3桁となる102点でトップに立った。新大関だった5月の夏場所を途中休場、7月の名古屋場所を全休。休場数は25回に及んだが、迫力ある押し相撲を武器に、土俵に立てば圧倒的なファンの支持を集めた。

3月に大関昇進を果たした一方で、その後は右膝や左胸の負傷にも苦しんだが、その経験も前向きにとらえる。「いいことも悪いこともたくさんあった。大関にも上がってけがもあったけど、この1年で自分の中では深みが増した気がする。来年にも生きてくると思う」。

冬巡業の朝稽古では幕内力士の中でも早く稽古場に現れ、土俵下で幕下、十両の稽古の様子を観察。四股や腕立て伏せなどの基礎運動をこなしながら、琴勝峰や豊昇龍、霧馬山らホープに稽古をつけ、看板力士として巡業を盛り上げた。来年1月の初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて「体をしっかりつくって臨みたい」と、静かに闘志を燃やした。“武士道精神”を重んじる23歳が、来年20年も角界の顔になる。【佐藤礼征】(おわり)