日本相撲協会は24日、来年1月の大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表。先場所、西十両5枚目で11勝4敗(優勝同点)の好成績を収めた霧馬山(23=陸奥)が、待望の新入幕を果たした。同日午後、師匠の陸奥親方(元大関霧島)同席の元、東京・両国の陸奥部屋で記者会見に臨んだ。

先場所の成績から、今場所の新入幕は確信していたようで、モンゴルの家族にもそれらしい報告はしていたようだが、あらためて「本当にうれしい。十両に上がった時から(新入幕は)次の目標で、1つの目標を達成できた」と、うれしそうに話した。モンゴルでも本場所はテレビ中継されるが、十両は千秋楽だけのようで「これからは15日、毎日テレビで見られる」と家族を思いやるように目を細めた。

井筒親方(元関脇逆鉾)が9月の秋場所中に死去。同場所後の理事会で井筒部屋所属の横綱鶴竜(34)らの、陸奥部屋への転属が決まった。10月は秋巡業があったため、部屋での生活をともにするようになったのは、九州場所前から。それが一つの転機だった。130キロほどの細身の体で、もともと大食漢ではない霧馬山。丼飯も「頑張っても2杯ぐらい。あまり食べられない」というのが、せいぜいだった。それを見かねたように鶴竜から、それまで2杯だったら3杯食べるように言われたという。その3杯目を食べ終えるまで、横綱はそばで見守っていたという。「きつかったけど頑張って食べた」と霧馬山。これで場所に入るまでに、体重は10キロ増え140キロほどに。本人は「それほど感じなかった」と言うが、立ち合いの圧力が増したことは容易に察することができる。「体重が増えて先場所は11番、勝てたのかなと思う」と“横綱効果”に本人も満足そうだ。

昨年1月の初場所時点では、部屋に関取は不在だった。それが1年で、転属という予測不可能なこともあったが、横綱1人と幕内力士1人を輩出して新年を迎えることになった陸奥親方は「場所のことを考えると喜びは一瞬ですよ」と喜びは控えつつ「稽古場が締まってきた。横綱になったらすごいな、といろいろな面で」と鶴竜合流が発奮材料になっていることを強調。「目の前にいる目標を見習いながら『自分もそこ(横綱)まで行きたいな』と本人も思っているのでは」と期待を寄せた。

初場所では、鶴竜の横綱土俵入りで露払いを務める見込み。「土俵入りが楽しみです」と笑みを浮かべる霧馬山は、新入幕の目標を「とりあえず勝ち越し」と、こちらはやや控えめ。それでも将来的には「一番上を目指したい」と、間近に手本となる横綱を思い描いていた。