現役力士としては関取最年長で臨んでいる東十両11枚目の豊ノ島(36=時津風)は黒星発進となった。

過去、十両と幕下で4度対戦し3勝1敗と分の良かった同11枚目の彩(27=錣山)と対戦。左肩から当たり得意の右差しを狙ったが、相手も心得たもの。右からの強烈なおっつけで差し手を封じられ、たまらず引きかけたところを一気に出られ正面土俵に突き出された。

立ち合いで、ちょっとした違和感を覚えた。「踏み込んでるつもりだったけど、感覚的にフワッと立ってしまった。左から厳しく差し込もうと思ったけど」と自分の圧力を相手に伝えられなかった立ち合いを振り返り、残り腰についても「軽くなって押し込まれて残せなかった」と言う。

原因は分かっている。ケガが治りきっていない足への負担軽減や、再発防止のために取り組んでいる減量だ。昨年11月の九州場所と比べ「足の負担が大きいからね。10キロぐらい落とした。先場所は横の動きも良くなかったし」と理由を明かす。揚げ物はよくない、と聞くと「九州場所後はほとんど食べていない」という。食事だけではない。「元日以外は年末年始も、部屋の稽古は休みだけど部屋に行ってトレーニングした」と理想的な流れで減量に取り組んだ。

ただ、軽くなった体の感覚を確かめる稽古は「関取衆とは申し合い(稽古)が出来なかったからね。若い衆に胸を出した時にグラグラって感じたから体重を落としたことで下半身が軽くなったのかな、と思ったけど、やっぱり関取衆と出来なかったからね」と未知数のままだ。関取衆との稽古を避けたのも「場所前の稽古でケガをしたらアウトだから、どうしても慎重になってしまう」。引退と隣り合わせの危機感は、常につきまとう。そんな不安とも付き合いながら、新年の本場所をスタートさせた。