現役関取最年長で奮闘の土俵が続く東十両11枚目の豊ノ島(36=時津風)が、十両残留の崖っぷちに立たされた。

西10枚目の貴源治(22=千賀ノ浦)と対戦。立ち合いで「踏み込んでくると思っていた」(豊ノ島)相手が、右への変化。体勢を崩され突かれたが、それにも反応し右からいなし、左のど輪で押し込む。だが、その左脇をハズで押し返され上体が伸びてしまった。徐々に後退を余儀なくされ、最後はとどめを刺されるように、右のど輪で押し出された。

「体の動きはあまり良くないと思うけど、目いっぱいやりますよ」と取り口を振り返る言葉数は少なかった。十両最下位まで3枚を残しての10敗目(4勝)。通常なら千秋楽に勝って5勝10敗としても、5つの負け越しで番付が5枚下がってもおかしくない。それは関取の座を失うことを意味し、さらには土俵人生に区切りをつける可能性も秘められている。

そのあたりの胸中は複雑だ。番付の運不運もあり、5つ負け越しても残留の可能性もある。最近の例では、昨年秋場所、東十両13枚目の彩は6勝9敗ながら、翌九州場所は西14枚目にとどまった。3点の負け越しで番付降下は1枚半。番付の運不運を何度かは味わっている豊ノ島も、いちるの望みがあることを承知してか「とりあえずあと1日ありますし、あと1番勝てば、まだ」と、通常の場所のように千秋楽を白星で締めくくる気持ちしかない。

一方で、仮に十両残留になっても「踏みとどまっても後半の相撲は情けない」「後半はいい相撲もあったし、そこまで自分の力が落ちているわけではないけど、動きが良くなっても星が上がらないのは、ちょっと問題」と、ちゅうちょする気持ちも支配する。歯車が合わないだけではないか? という問いかけには「歯車が合えば(幕内で優勝争いする)正代や徳勝龍みたいになる。合わないとうまくいかない。点と点が合って1つの線になった時、力が出るのかな」と言葉を慎重に選んだ。

あとは気力。前日13日目の大関豪栄道の気力あふれる相撲はテレビで見た。「陥落が決まっても気持ちで取っている」と刺激は受けた。あとは自分を奮い立たせられるか。「(千秋楽に)もう1番、勝っておけば。先のことは考えてないけど、先にもつながるし、来場所もあるし」。どう結論を出そうとも悔いなく、千秋楽の一番を取り切る。