大相撲の大関豪栄道(33=境川)が27日、引退の意向を固めたことが分かった。この日までに師匠の境川親方(元小結両国)が、日本相撲協会に引退の意向を伝えた。

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大阪出身の豪栄道にとっては特別な、年に1度のご当所、春場所を目前にした引退は、心残りだったことは想像に難くない。春場所は昨年が最後となったが、ちょうどそのころから「相撲人生」という言葉を多用するようになった。昨年1月の初場所中に、同い年の元横綱稀勢の里が引退。ライバルが土俵を去った寂しさをにじませていた。自身の現役生活についても「もう長くないでしょ」と、悟ったように語っていた。

昨年9月の秋場所の際には「小学生のころは1日100番取っていたな」と、相撲を始めたばかりのころを回顧したこともあった。ベテランゆえの余裕もあるかもしれないが、本場所中は余計な話をしていなかった20代のころとの違い、自ら思い出話を語る姿に驚いた。一方で、大好きなプロ野球巨人の話をする時に満面の笑みを見せたり「オレこう見えて神経質やから」と、慣れない宿や枕で寝ることに抵抗があると恥ずかしそうに話したりと、どこか子どものような一面も。魅力的な力士がまた一人、土俵を去る。【高田文太】