西前頭13枚目の碧山(33=春日野)が志摩ノ海を突き出して1敗をキープ。全勝だった横綱白鵬が敗れ、ついにトップに並んだ。

「よかったですね」と自画自賛の会心の相撲だった。立ち合いもろ手突きから休まず前に出て一直線に突き出した。前日9日目に勝ち越しを決めて「目標は超えましたから。楽に相撲とれます」。言葉通り、迷いなく前に出る相撲が星につながっている。

昨年名古屋場所の勝ち越し以降、3場所連続で負け越した。「勝ちたい気持ちが強かった」と反省し、今場所は無欲で臨む。無観客開催も碧山にとってはプラスの材料。兄弟子の栃ノ心が「稽古場みたいに落ち着いている。稽古場じゃ強いからね。だれもかなわない」と言う。「お客さんがいなくて寂しいけど」という静かな環境で、持てる力を発揮している。

17年名古屋場所、14勝で優勝の白鵬に次ぐ13勝をあげた。久々のチャンスにも欲はかかない。「(優勝争いは)全然考えてないです。1日1日集中して相撲をとるだけ」。幕内下位に潜む実力者が、不気味な存在となってきた。