日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)への思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」の第3弾は、アベノマスクならぬ…。

  ◇    ◇    ◇

コロナの影響で悲しい思いをしている飲食店関係の人も大勢いるだろう。実は銀座で、高知の同級生が開いていた土佐料理の店も閉じてしまった。体がしんどく後継者がいないことも理由にあるけど、自粛で店を開けず家賃の高さも大きかったようだ。仕方ないけど切ないな。

高砂部屋は変わりなく、みんな元気でやっている。6月に入って関取衆をはじめ、通常の相撲を取る稽古も再開している。ただ7月場所まで、まだ40日ぐらいある。普通なら前の場所の千秋楽が今ぐらいだから、まだまだ初日は先だ。メリハリをつけながらエンジンをかけるのは、7月に入ってからだな。

おととい(9日)かな、朝乃山がBSの番組にリモート出演していた。何か不思議な感覚だな。通常の対人の取材ができなくて、記者の人たちも相撲を取るわけじゃないのに、稽古場が恋しくなったんじゃない? 

この時期、相撲部屋では浴衣を作る季節だ。ありがたいことに、地方の後援者の人たちが何かできないかと、浴衣地でマスクを作って送ってくれた。部屋の浴衣地は熊本から、朝乃山の浴衣地は地元・富山の方が手作りしてくれた。まさにアサノマスクだ(笑い)。角界に入って40年以上たつが、よもや浴衣地からマスクが作れるなんて想像もできなかった。日本人の器用さとか発想力とか、このコロナ禍でいろいろ感じさせられることはあるな。(日刊スポーツ評論家)