大相撲春場所後に新大関に昇進した朝乃山(26=高砂)が22日、日刊スポーツの電話取材に応じた。本来ならこの日は、名古屋場所の番付発表日。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で同場所は延期となり、番付は開催中止となった夏場所のまま。そんな中、日本相撲協会が無観客での開催を目指す7月場所(19日初日、東京・両国国技館)、新大関としての自覚や心境などを語った。

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雨が降りしきる都内の高砂部屋で、朝乃山は電話取材に応じた。本来なら今ごろは、愛知・蟹江町に構える宿舎にいるはずだった。しかし名古屋場所は延期となり、開催場所は両国国技館に変更。「名古屋のいろいろなお客さんから『寂しいね』と連絡をもらった。年1回の名古屋に大関として行けないのは寂しい」と率直な思いを漏らした。

しかし下を向いてばかりではいられない。7月場所初日まで、1カ月を切っている。部屋では6月から、接触を伴うぶつかり稽古や申し合い稽古を再開。部屋の関取は出稽古は禁止だが「部屋で稽古すれば十分。幕下にも関取を目指す若い衆がいる。いい刺激をもらっている」と日々、手応えを得ている。稽古後の筋トレも欠かさず、自粛生活が続いているが体重に変化はない。「しっかり体を維持できているのはいいこと」と調整は順調だ。

春巡業は中止、延期となり、夏場所も中止となったため「大関朝乃山」を世間に披露できていない。しかし「今度は大関という立場だから負けられない戦いが続く。自分自身とも闘わないといけない」と本土俵に立たずとも自覚は十分持っている。最後に本土俵に上がったのは、春場所千秋楽の3月22日。7月場所が開催されれば約4カ月ぶりの本土俵となる。「これだけ空いたのはプロになって初めてだけど、体を休めるというプラスもあった。気持ちも楽になった」。心機一転した新大関が7月場所で大暴れする。【佐々木隆史】