大相撲の中村親方(元関脇嘉風)が1日、都内で行われた、「一般社団法人 APOLLO PROJECT」設立の記者会見にリモート参加した。同団体はサッカーのC大阪で活躍した山内貴雄氏が代表理事を、元ラグビー日本代表の広瀬俊朗氏らの元アスリートらが理事を務め、アスリートのセカンドキャリアなどをサポートする団体。中村親方は、同氏らが熱弁した自身の現役時代の体験や引退後の活動、おのおのが考えるアスリートの価値などについて耳を傾けた。

中村親方は昨年秋場所に現役を引退し、現在は尾車部屋で後進の指導に当たっている。会見中に「決断力」について問われた同親方は「部屋の若い衆は親方の指示に従って稽古をする。ただ関取になると、私の部屋(尾車部屋)では(師匠の尾車親方から)『番付が上がるも下がるも自己責任』と言われてほとんどを任せられた」と現役時には高い自己決定力が必要だったことを明かした。

そんな中で「30歳を過ぎてから、33、34、35歳の時は若い時のように毎日相撲を取る稽古は行わずにトレーニングばっかりやっていた。トレーニングをやっていれば体は動くと勝手に仮説を立てていた」と悔やんだ。一方で「たくさん稽古をして成績を残すということに疑問を抱いていた。晩年は若い衆と同じ稽古量はできないなと思っていた。実際に自分が若い時の100分の1ぐらいの量だったけど質は高めました」と現役時代の経験や考え方を明かした。

中村親方は、同団体が来年1月から展開する「アスリート向け教育事業(A-MAP)」に1期生として参加し、人材育成講義を受講するという。同親方は「楽しみがたくさんある。1期生としてしっかり学んで、自分のいい所を発見して次につなげていきたい」と語った。また「角界は辞めた後の次が厳しい。残れる人は少しだけ。指導者として何とかしたい。若い衆もだけど、関取衆もこの世界に残れる保証はない。そんな人に自分でよければアドバイスできればなと思う」と講義で学んだことを、後輩に伝えていく。