幕尻で東前頭17枚目の志摩ノ海(30=木瀬)が1敗をキープし、やはり1敗を堅持し優勝争いでトップを並走する大関貴景勝(24=千賀ノ浦)との一番が、13日目に組まれた。協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)は、両者をほめるとともに、大一番を占った。

2敗で追う竜電(30=高田川)との激しい攻防の末、最後は命綱となった左下手からの出し投げで勝った志摩ノ海について、同理事長は「動いて自分の形にしようと、自分の体勢にしようと持っていった。うまく動いている。好調なんじゃないかな」と幕尻力士を評価した。

結びの一番で、3敗の宝富士(33=伊勢ケ浜)に完勝した貴景勝については「大したもんだ。このプレッシャーの中、まともに来る相手だが、いろいろと考えてしまう。そんな中で、きちっと当たっている」と迷いのない押し相撲を評価した。

13日目の直接対決については、挑戦者の心情もくみ取り「怖い物はないだろうから、やることだけやると開き直ってもいいんじゃないか。こんなプレッシャー(を味わえるのも)そうそうないだろう。(幕尻に)当てられる(貴景勝の)方が緊張するだろう」と志摩ノ海が持てる、挑戦者の強みを説いた。展開については「負けて元々と思い切って、しぶとくいけば貴景勝は勝たなければならないから、はたきに来るかもしれない。そこをつけ込めるスキはある」と読んだ。

受けて立つ貴景勝についても2横綱、2大関が不在の中、ここまで優勝争いを引っ張っていることを高く評価。「1人大関のプレッシャーを背負って、このまま優勝すれば価値はある。期待しましょう」。今年3度目の幕尻優勝がかかる「伏兵」と、出場する力士の中で番付最上位の「看板力士」の熱戦を期待した。