4日間で4番も物言いがつく相撲を取るのも珍しいな。それでも相撲に負けて勝負には全部勝っている。正代の神懸かり的な相撲だが、それだけ実力がある証拠で勝つべくして勝っているとみている。隆の勝戦も確かに大関として褒められた内容ではない。最近の悪い癖で押し相撲相手に、はたいてしまった。それでも俵までの距離は頭に入っていて、土俵際で勝負を決められるという計算があるんだろう。勝ち方に異論はあるだろうが、横綱不在の場所で責任を果たしている。

大栄翔も役力士を連破した前半戦のような相撲を久しぶりに見せた。番付下位相手に、役力士と対戦した時のような攻めの姿勢で臨めるかが問題だったが、2敗したことで逆に、その気持ちを取り戻したと思う。2敗で並ぶ両者の優勝争いは正代次第ではないか。やはり残る照ノ富士、朝乃山は難敵だ。ここは何としても最後まで楽しませてほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)