大相撲春場所で3度目の優勝を果たし、大関再昇進を確実とした関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が29日、都内の部屋で、リモート一夜明け会見を行った。

大関復帰をかけて臨んだ春場所では、昇進目安の「三役で3場所33勝」に向けての9勝が一つの目標だった。実際には13日目から3連続大関撃破するなど、12勝を上げて3場所「36勝」と大きく目安を上回った。審判部長が師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)だっただけに「(大関に)上げてもうら以上、文句なしで上げてもらいたかった。『師匠が上げるんだから』ということがどうせ出てくるから、師匠の顔に泥をぬることは絶対に許さないという気持ちだった」と秘めたる思いがあったという。

内臓疾患や両膝の負傷により、大関から序二段まで陥落した。当時は伊勢ケ浜親方に何度も引退を相談したが、その度に強く引き留められて、励ましの言葉をもらい現役続行を決意。「病気やケガで車いすでいる時に1日1日が本当に自分の闘いというか、必死に生きようとしている自分がいた。だからこそ、1日の大切さというのはその時に学びました」と、コツコツと積み重ねてきた。

4場所連続全休明けとなった19年春場所から、わずか2年で大関再昇進を確実にするところまできた。「今以上に努力して、もっと頑張って成績を残さないといけないとあらためて強く思いました」と満足はしていない。むしろ「昔から目標にしていたのは横綱という地位ですから。やっと近づいて、もう1歩先を進むところまできたかなと思います」と横綱昇進を見据えた。