元横綱朝青龍をおじに持つ東前頭5枚目豊昇龍(21=立浪)が、大関挑戦3戦目にして初勝利を果たした。朝乃山をのど輪で起こして先手を奪うと、右四つから内掛けで大関をあおむけにさせた。今場所が初めての上位総当たり。偉大なおじを尊敬してやまないホープが、後半戦に向けて弾みをつけた。大関復帰の照ノ富士は中日での勝ち越しを決めた。1差で大関貴景勝が追走する。

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幕内5場所目の21歳が、大関相手に立ち合いから主導権を握った。右のど輪で起こして左上手、右四つに組むと、自ら仕掛ける。「狙っていなかった」と右足を相手の左足に掛けて、朝乃山に体を預けた。鮮やかな大関戦初勝利に「体がよく動いてくれた」と声を弾ませた。

前日7日目の貴景勝戦は、立ち合いで左に変わる注文相撲を取って負けた。消極的な内容に、師匠の立浪親方(元小結旭豊)からも「大丈夫か?」と心配されるほど。「昨日までずっと勝ちたい、勝ちたいと思っていて、自分の相撲を取り切れていなかった。楽しみたいと思ってやった」。悔いのない一番が取りたかった。

朝青龍のおいっ子として、入門時から注目を集めてきた。おじは4日目の12日にSNSで「また負けか?」「明日勝て!」などと投稿。名前こそ挙げなかったが、豊昇龍の取組を気にかけている様子だ。今場所中、まだ連絡を取り合っておらず「おじさんには立ち合いのことを教えてもらいたい」と助言を求める。9日目も正代との大関戦。さらに殊勲の星を積み重ね、おじにいい報告がしたい。【佐藤礼征】