照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、昭和以降では初めてとなる大関復帰場所での優勝を果たした。

優勝に王手をかけた千秋楽の結びで大関貴景勝に敗れ、12勝3敗と並ばれた。しかし。貴景勝との決定戦を制して、2場所連続4度目の優勝を決めた。 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)によると、場所前の稽古では古傷である膝の状態が上向かず「稽古はちょっと足りてない」と明かしていたが、不安を感じさせない15日間だった。

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照ノ富士の変化が、決まり手に表れている。前回大関だった15年名古屋場所から17年秋場所までの10場所と、関取に復帰した昨年初場所から今場所までの8場所で、白星はそれぞれ95勝、93勝とほぼ同数。決まり手は「寄り切り」や「押し出し」などの基本技の数に大きな変化は見られなかったが、「上手投げ」や「小手投げ」の「投げ手」が、「25」から「14」と半数近くに減った。

師匠の伊勢ケ浜親方は「膝という爆弾を抱えている。相手の腕を抱えて引っ張り込めば、古傷の両膝にも負担がかかる」と照ノ富士に指導してきた。鳥取城北高時代の恩師で同校相撲部コーチのレンツェンドルジ・ガントゥクス氏(36)は「高校時代は多かった、引くクセがなくなった」と目を見張る。下がらずに前に出る相撲を意識付け、今場所も「寄り切り」の決まり手が最多だった。

◆初の大関復帰V 昭和以降で大関に復帰した場所(過去11例)での優勝はなく、照ノ富士が初めて。

◆双葉山ルート 関脇で優勝を果たし、大関昇進の翌場所で連覇をするのは37年(昭12)1月場所の双葉山以来(当時11日制)。双葉山は翌場所も優勝して第35代横綱に昇進した。さらに新横綱から2場所連続で賜杯を抱き、5場所連続優勝となった。

◆大関優勝 昨年11月場所の貴景勝以来3場所ぶり。

◆現役2位 4度目の優勝は通算44回を誇る横綱白鵬に次いで現役2位。