照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、史上6人目の新横綱ストレート給金に王手をかけた。西前頭3枚目琴ノ若を下して初日から7連勝を飾り、単独首位をキープ。今場所最長となる22秒4と時間をかけて、焦らず寄り切った。新横綱が中日勝ち越しなら1場所15日制が定着した1949年(昭24)夏場所以降では、17年春場所の稀勢の里らに続く快進撃。1敗も平幕の妙義龍だけとなり、独走態勢も目前となっている。

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上位経験の少ない相手にも、照ノ富士は確実に白星をつかみ取る。もろ差しを許しても、強引には引っ張り込まない。琴ノ若の巻き替えに乗じて両上手を浅い位置で取ると、万全の形になった。相手は初めての横綱戦だが「いいもの持っている。体格も重さもあるし」と油断はない。今場所最長の22秒4をかけて、じわりじわりと体を寄せた。

誰が照ノ富士に勝てるのか。先場所は千秋楽の横綱白鵬戦まで14連勝。土俵下で取組を見守った幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)も「琴ノ若も右を差させないようにしたけど、慌ててくれないのでどうにもならない」と、冷静ぶりに舌を巻いた。

中盤戦に差し掛かり、土俵入りでは心機一転した。5日目から3日連続で、お茶漬けなどで知られる「永谷園」から贈られた三つぞろえの化粧まわしを使用。富士山、鷹、茄子がデザインされ、日本を象徴する縁起物の後押しを受ける。特に富士山は日本画家の大家、横山大観の「霊峰富士」が描かれた。同作品を所蔵する「足立美術館」(島根県安来市)の担当者は「同じ山陰地方で関係性もあるし、応援したいです」とエール。照ノ富士は18歳でモンゴルから来日し、鳥取城北高に相撲留学して基礎を固めた。山陰地方の縁も力に、快進撃を続ける。

史上6人目となる新横綱場所での中日勝ち越しで、後半戦に弾みをつけたい。1差で追うのは平幕の妙義龍だけ。「1日一番集中してやっていきたい」。後続を振り返らず、賜杯に突き進む。【佐藤礼征】