西前頭4枚目の大栄翔(27=追手風)が、横綱照ノ富士から初金星を奪った。横綱に徹底してまわしを与えず、のど輪からはず押し、最後はもろ差しと攻めきって寄り切った。今年初場所で優勝した実力者が、独走状態に待ったをかけ、6勝目を挙げた。元横綱朝青龍のおい、東前頭筆頭の豊昇龍が幕内で4年ぶりの一本背負いを豪快に決めた。

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大栄翔が攻めダルマと化した。「(照ノ富士に)差されたりまわしを取られたら話にならない。自分の押し相撲で向かっていきました」。徹底してまわしに触らせない。腰の位置を低く遠ざけ、強烈な左のど輪で押し込み、もろはずから最後はもろ差しで、負けない横綱を寄り切った。照ノ富士が配給した初の金星。大栄翔は3個目となった。

「どんな相手でも勝ちたい思いは同じだが、気合は入っていました。自分の力を120%出さないと勝てない相手。(照ノ富士から初金星は)本当にうれしいことです」。照ノ富士には過去2勝5敗。最近は3連敗中だった。全く隙を見せない横綱を止める。今場所の気合は特別だった。

今年初場所、思い切りのいい押し相撲で初優勝を飾った。しかし、その後は8勝、最近2場所は連続で負け越しと本来の姿を見失っていた。今場所は吹っ切れたように、本来の押し相撲が戻ってきていた。その流れでの金星。「自信になる相撲です」と言った。

昨年4月から日大大学院(通信制)に通う。場所がない期間、オンラインで意欲的に授業に参加。ゼミもある。「学ぶことで考え方もいろいろ変わってくる。相撲にも何かしら影響していると思う」。今後は修士論文に取り組む。「まあ相撲に関連したことですね。(テーマは)決まったら教えます」とほほえんだ。

1敗力士も消えた優勝争いにも興味を取り戻した。自身も3敗だが「そこまでは」と話しつつ、「三役に早く戻りたい」。大仕事から勢いに乗る。【実藤健一】