10日目の横綱戦で善戦した宇良が、この日は玉鷲に対し何も出来ずに押し出されました。常に正対する玉鷲に対し、外から回り込んで攻めようとした宇良ですが、番付をさらに上げようと思うのなら差して攻めるとか、内側から攻めないと駄目です。善戦で終わってしまいます。宇良についてもう1つ、照ノ富士戦の最後の場面は、まわしから手を離さないといけません。残り腰のないあの体勢は大けがにつながります。照ノ富士が反り返る宇良を思いやって駄目を押さなかったのは、プロとしてあうんの呼吸、気遣いです。思い出したのが私が26歳の時、すくい投げで勝ちながら、まわしを離さなかった旭鷲山との一番で右大腿(だいたい)二頭筋を断裂しました。宇良の相撲は好きですが、期待すればこそ無茶はしてほしくないです。

さて照ノ富士有利の優勝争いですが、混戦にするためにも懲りずに御嶽海に期待します。懐に入った相撲は本当に強い。名前を挙げるのも迷いどころで評論家としても崖っぷちですが(笑い)期待したい。これまで何度も期待を裏切られましたが、このガッカリさせられるのも御嶽海の魅力。2ケタ勝って大関の足掛かりをつかんで、気を良くして横綱戦に挑んでほしい。対戦が残される正代にも大関の責任を果たしてほしいし、ケガの不安が残る貴景勝と合わせたこの3人が、後半を盛り上げる三銃士になってほしいと思います。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)