現役大関と元大関が好対照の星を並べた。大関正代(30=時津風)は、この日も敗れ4連敗。かど番脱出に大ピンチだ。一方、大関経験者の高安(32=田子ノ浦)は、幕内では新大関の御嶽海(29=出羽海)とともに勝ちっ放しだ。

業師の宇良(29=木瀬)に左腕を手繰られ背後を取られると、為す術もなく送り出しで土俵を割った正代に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、取組の内容に触れず「集中して明日から行くことが大事」と、この日も切り替えの重要性を説いた。黒星を喫した後の覇気のない姿がテレビ画面に映し出される。「しっかりした姿を見せるのも大関の仕事。気力を見せてほしい。1つ勝てば気持ちが変わる。まずは1つ勝つという気力(を見せてほしい)」と、全敗対決で平幕に敗れた看板力士に奮起を促し、さらに「これからでしょう。そう思っていかないとね。終わったわけじゃない」と諭すような口調で話した。

一方、全勝対決で琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)を破った高安については「精神的に、しぶとく行っている感じがする」と我慢強さを察した。琴ノ若の、やや右にずれるような立ち合いにも冷静に対応。得意の左でない右四つの展開になったが、慌てず勝機をさぐり、最後は左四つ、右上手の得意の体勢から上手投げで若武者を仕留めた。「相手に、いいところ(のまわし)を取られたけど、自分の(得意な)右上手を取るまで辛抱した」と、落ち着いた取り口を評価していた。