福島市出身で荒汐部屋の「大波3兄弟」が、故郷への思いを胸に3人そろって白星を挙げた。新関脇の若隆景(27)は新小結の豊昇龍を寄り切って4勝目。長男で西幕下13枚目の若隆元(30)、次男で西前頭9枚目の若元春(28)も勝利した。前日16日深夜に、宮城県と福島県で最大震度6強を観測する地震が発生。地元に明るい話題を届けた。新大関の御嶽海が初黒星、横綱照ノ富士が2敗目を喫した。

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兄弟で出世頭の若隆景が、3兄弟そろい踏みを決めた。電光石火の出足で豊昇龍を突き起こすと、得意のおっつけで崩して一気に寄り切った。先場所14日目に続く、同日の3兄弟白星。「いつも通り自分の相撲に集中した」。取組後のリモート取材で若隆景は多くを語らなかったが、16日に地震被害のあった福島に勇姿を届けた。

祖父は元小結若葉山で、父で元幕下若信夫の大波政志さんは、福島市内で料理店「ちゃんこ若葉山」を営んでいる。“相撲一家”で育ち、幼少期から父の指導で相撲のいろはをたたき込まれた。前夜の地震発生時、すでに大阪府内の宿舎で就寝していたという若隆元は、この日の朝に両親に安否確認を取った。建物に損害はなかったが「グラスや食器がたくさん割れたみたい。かなり心配」と神妙な面持ちだった。

11年3月11日の東日本大震災から11年がたった。学法福島高1年だった若隆景は、次男の若元春とともに、長男が入門していた荒汐部屋に約1カ月身を寄せた経験がある。若元春は「震災からかなり年はたったけど、地震は今も怖い。みなさんがケガがなければいい」と祈るように話す。

若隆景は、祖父の最高位を超えた番付発表日に「福島の方々の応援がすごく届くので、僕なりに少しでも活躍している姿を見せられたら」と決意を語っていた。昨年末には福島市で3兄弟の後援会が設立。土俵上の躍動が、故郷への恩返しになる。【佐藤礼征】