日本相撲協会は30日、東京都内で大相撲夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、栃丸(29=春日野)の新十両昇進を決めた。栃丸は11年5月の技量審査場所で横綱照ノ富士らと同じ初土俵を踏み、11年かけての十両昇進。オンラインでの新十両昇進会見に臨んだ。

昇進を決めた心境を「うれしい気持ちでいっぱいです。(場所後は)あまり考えずにいようと思いました。知らせは師匠(春日野親方=元関脇栃乃和歌)からです。苦労した分、うれしさが倍に倍になって感無量でした」とかみしめた。

春場所は西幕下筆頭で4勝3敗と勝ち越した。昨年名古屋場所でも、同じ地位で3勝4敗と負け越した。幕下上位で何度もチャンスがあっただけに、重みが違う。「(昨年名古屋場所は)気負いすぎたところがあったので、自分の相撲をしっかりとろうという思い。自分なりに、自分のできることを精いっぱいできたかなと思う」と振り返った。

師匠の春日野親方も「長かったという思いはある。入った時から稽古熱心でまじめ。強くなることには貪欲だった。天才でもないし、何か光るものがあって入ってきたわけでもない。言葉は悪いが“サラブレッド”ではなかったが、打てば響く精神力があって今がある」と努力をたたえる。

関取として迎える来場所も、数字的な目標は掲げなかった。「自分がやることはひとつ。押すだけなんで。それを貫いていきたい。数字というよりも、いい相撲をとりたい。そのために稽古を毎日積み重ねていくのが目標です」と謙虚に話した。