優勝争いを占う一番で、取組直前に国技館内で手拍子が起こる場面があった。

3敗でトップを並走する西前頭12枚目佐田の海(35=境川)と、1差で追走する4敗の小結大栄翔(28=追手風)の一番だった。相撲は大栄翔が腕をたぐられて体勢を崩しながら、持ち直すと、引いて呼び込みはたき込みを決めた。

勝って優勝の可能性を残した大栄翔は「相手へのあれ(エール)だったので、自分は気にせずやりました。集中が変わることはない」と、異様な雰囲気にも揺るがなかった。佐田の海は幕内在位40場所のベテラン。勝てば初優勝に前進していた。

土俵下から取組を見守った幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)は「『佐田の海頑張れ』のエールかな。(互いにやりにくさは)あるでしょうね」と振り返った。

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