大相撲秋場所(11日初日、東京・両国国技館)まで残り10日を切った3日、新三役昇進を狙う東前頭2枚目の琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)が、朝稽古後に報道陣の取材に応じた。

この日は西前頭9枚目の琴恵光(30)と三番稽古を14番取り11勝3敗。立ち合いから相手をはじき飛ばすなど主導権を握る相撲で番付の違いを見せた。

今年に入り、2場所連続11勝と9勝で夏場所は自己最高位の西前頭2枚目に。その夏場所も9勝を上げながら番付運に泣き7月の名古屋場所は西から東に回っただけだった。今度こそ三役に-と臨んだ名古屋場所は、部屋でコロナ感染者が出たため7勝3敗で迎えた11日目から休場。三役の目標は持ち越された。

それでも琴ノ若は「仕方ないとしか言いようがない。落とされなかっただけ良かった」と番付据え置きもネガティブにはとらえていない。上位総当たりの位置に変わりはなく「自分自身はやることは変わらない。いつも通り、いい相撲を取って、また応援してくれる人を喜ばせられたら」と挑戦者の気持ちにブレはない。

少し気になるのは、休場による体重減。一時は10キロ以上減り「新十両の時ぐらい。やせた時はきつかった」という150キロ台(159キロ)に落ちた。8月の巡業でも「先輩らに『どうした?』『だいぶやせたね』と言われた」ほどだ。現在は168キロほどに増えたが、それも食事による増加によるものが大きく、筋肉の落ちより体力面の不安があったという。それでも「場所に向けて(元に)戻せる体重には戻った。いつも通りの体重にはなってきた」と、不安はなくなった。

相撲内容では、新たなスタイルを模索する。四つ相撲、そこに持ち込む突き押し、攻め込まれても丸い土俵をうまく使いこなし、懐の深さと柔らかな上半身を生かした相撲が売りだが「強みを生かせれば新しい形が(できる)。初代じゃなくて2代目琴ノ若の、また別の形という」と話すように、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)と重ね合わされるイメージからの脱皮も頭にある。「やっぱり、どうしても上手だったり、力強い投げだったり、師匠のイメージが強いと思う。それなりに、そういう相撲を取ったりしますけど、でもスタイルが全部、そこってわけじゃない。勉強して押し相撲も、ちょっとずつ出来るようになってきて、あの押しが出来たからいい位置でまわしを引けたりということもある、そこは柔軟に考えて新たなスタイルで行きたいと思います」。父とはまた違う、三役力士となり、その先の番付を見据える。