大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)にご当地出身として臨む熊本出身の西前頭4枚目佐田の海(35=境川)が8日、福岡・大野城市で朝稽古を行った。

平幕の妙義龍と平戸海と申し合い稽古を行い、19番取って7勝12敗。ぶつかり稽古では幕下以下の若い衆に胸を出すなど、精力的に稽古を行った。ここまでの調整について「思ったより調子はいいですね。本場所が始まってみたら応援が多いので気合が入りますね」と、やはり九州場所への思いはひと味違うようだ。

この日こそ新十両の対馬洋(29)が用事があって稽古場にいなかったが、普段は入幕2場所目の平戸海(22)、ベテランの妙義龍(36)と自身を含めた4人で申し合い稽古を行っているという。「対馬洋も平戸海も結構強いので一緒に稽古していたらそれだけでいいかな。つられて量もこなすし。あの2人も含めて4人で一緒に稽古して戦えたらという感覚」とベテランと若手がうまくマッチしている。そのかいあってか、5月の夏場所では優勝争いに絡むなど、年齢を重ねても結果を出せている。

稽古量だけではなく、質にもこだわりを見せる。「いかに速く出られるかというのは常に意識している。すり足を多めに。感覚を確かめながらしっくりくるまで」と基礎運動のすり足を意識的に行っているという。若いころはただただこなすだけだったというが、今は「ここから力が入って伝わっていくんだとか。足の裏を研ぎ澄ませている。やはり年齢を重ねて自分の体と会話ができている。あっ、この感じか、とか」とベテランならではだ。

ご当地出身として臨む1年納めの九州場所。プロ野球のヤクルトファンなだけに、最多本塁打を記録した村上と同郷であることを振られると「3冠王には勝てないな」と謙遜しつつも「便乗したいですね」とあやかった。「番付は結果次第のところもあるけど、勝ち越さないと話にならないので」と同郷の主砲に負けじと奮闘し、悲願の新三役、さらに初優勝も狙う。