大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)は、2場所連続の十両優勝はならなかった。

1差で追っていた逸ノ城が、先に行われた取組で勝ったため2差に広がり、朝乃山は取組前の時点で優勝の可能性が消滅。それを支度部屋で確認し「逆に切り替えられた」と、集中力を高めて土俵に向かった。

その千秋楽の土俵は、所要1場所で新十両に昇進した「令和の怪物」落合との初顔合わせという、注目の一番だった。立ち合いから右の差し手争いで主導権を握られ、もろ差しを許す苦しい体勢。じりじりと寄られ、相手の左からのすくい投げには必死に残した。苦しい体勢は続いたままだったが、今度は右からすくい投げをこらえると、返す刀で右からの上手投げ。3連勝締めで13勝2敗とした。「『落合には絶対に負けない』という気持ちで行った。先場所のデビューから見ているけど『相撲がうまい』というイメージ」と、ただの勢いある若手ではなく、強敵と認識し、気力充実で迎えていたと明かした。

優勝を逃したことについては「(優勝した)逸ノ城関は安定感があって勝っていた。今日もやっぱり、相手をよく見ながら相撲を取っていた。悔しいけど、この悔しい思いを来場所ぶつけていきたい」と、冷静に語った。来場所は幕内返り咲きが確実。「幕内はお客さんも多いし、早くそこに戻りたい気持ちはある。早く戻りたい気持ちはあるけど、今のままの相撲だと全然ダメ。もう1度、鍛え直していきたい」と、気を引き締めていた。