大相撲の陸奥部屋で、幕下以下の力士による暴力が判明してから一夜明けた10日、部屋付きの鶴竜親方(37=元横綱)は、出稽古した部屋頭の関脇霧馬山に同行し、都内の時津風部屋の朝稽古を指導した。

朝稽古では何度も「投げにいかない」「我慢しろ」と助言。安易な投げを打ちがちな霧馬山に、粘って腰を下ろして寄り切るよう求めた。稽古後、霧馬山について「いい感じで来てるんじゃないかな。このままケガなくいけば」と、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で10勝以上すれば有力視される、弟弟子の大関昇進を期待している様子だった。

部屋の暴力については、すでに加害者力士が4月中に引退届を提出、受理されたという。日本相撲協会関係者によると、被害者の三段目安西(やすにし、21)も、コンプライアンス委員会への訴えを取り下げたといい、今後は新たに聴き取りを行うなど、追加調査は行われない見込み。

今後は師匠の陸奥親方(元大関霧島)、コンプライアンス委員会、相撲協会による推移を見守る立場だけに、鶴竜親方は部屋の暴力について「何とも言えないですね」と、険しい表情で繰り返すにとどめた。