霧馬山は前半戦を4勝1敗で乗り切れば大関昇進の10勝に届くと、場所前に展望しました。

その数字は確かにクリアしています。ただ、相撲内容は消極的で立ち合いの変化や、引いたり回り込むような相撲ばかりで、この日の琴ノ若戦もうまくかわせただけ。いつもの霧馬山ではありません。2ケタという数字を意識しすぎていると思います。

気持ちは分かりますが、横綱や大関になろうという人は単に勝てばいい、ではいけません。関脇との間には大きな壁があり、強さを植え付けなければいけない地位です。最近の大関が、すぐに陥落する現状もあって、単なる数字合わせでなく昇進しても本当に強いのかが問われます。

そういう厳しい目で見ることも必要で、それが大関という選ばれた者しか就けない地位を傷つけず守ることにもなります。このままではイメージがよくありません。ファンにも納得してもらい、その声で一押ししてもらうためにも一生懸命に、最後まで前に出て攻めきる相撲で白星を重ねてほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)