大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、節目の幕内通算200勝を、幕内一番乗りの10勝目で飾った。

取組前まで優勝争いで1差の2敗だった明生に辛勝。土俵際の突き落としで逆転した。10勝1敗は横綱照ノ富士と並ぶ先頭で、2敗も関脇霧馬山1人だけ。いよいよ優勝争いも絞られ、12日目は関脇大栄翔戦が組まれた。13日目以降も上位戦が予想される中、難敵を乗り越えて4年ぶり2度目の優勝へ向かう。

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節目の白星は鮮やかではなかった。朝乃山は立ち合いで左上手こそ取ったが、けんか四つの明生に右は差し負けた。もろ差しを許して後退。それでも土俵際、右からの突き落としで逆転した。両足を広げながら、土俵下へ真っ逆さまに転落。きわどい勝負の行司軍配にぼうぜんとしたのは明生だった。物言いはつかず、幕内通算200勝目の勝ち名乗りを受けた。「内容は悪いけど左上手は取れた。取れていなかったら負けていた。200勝はうれしいけど内容が。これからもっと伸ばしたい」と反省が口をついた。

「夏」は節目の場所だ。2年前は新型コロナウイルスのガイドライン違反が発覚、6場所の出場停止が決まった。「5月はよかったことも悪かったこともあった。でもこれから良い成績を残すことで、いい思い出を残したい」。4年前に初優勝したことは「過去のこと」と封印。栄光に浸ることも、失敗に落ち込むことも続けないと決めた。2年ぶり「夏」出場の今場所で再入幕。「新生朝乃山」を、好成績で印象づける。

4年前、優勝を決めたのは5月25日だった。今年は上位戦が始まる日。そして優勝への本格的な試練が始まる日となった。「思い切って、無心でやるだけ」。待望の幕内優勝争い、大相撲の中心-。再び注目を集める「夏」となる。【高田文太】

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