大相撲夏場所で8度目の優勝を飾った横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、初めて第1子の長男について語った。

同場所千秋楽から一夜明けた29日、都内の部屋で会見。長男の杉野森照務甚(すぎのもり・てむじん)くんについて「去年の11月に生まれて、自分の子ですし、何て言うのか…。本当にかわいいですね」と話した。千秋楽の支度部屋では、一緒に記念撮影に納まったり、抱っこしてあやしたりといった場面を披露していた。

昨年9月の秋場所から4場所休場していた照ノ富士にとって、夏場所は照務甚くん誕生後、最初の本場所だった。それがモチベーションになったか問われると「何かがあるから、余計にこうしよう、ああしようという思いでは、もともと場所に臨んでいない。その場所、その場所、その日、その日が全部大事だと思っている。いつ何が起きるか分からないので。こういうことがあったから、この場所が大事という思いはない。もちろん、家庭のことだから、この子にこうしてあげたいなという思いは、ありますけど。だからといって、その場所だけということではありません」ときっぱり。あくまで横綱の責任感、復活と目標とする優勝10度への思いが、原動力だった様子だ。

「テムジン」は、モンゴル帝国の初代皇帝チンギスハンの本名と同じ。大きく育ってほしいという父親としての思いをうかがわせた。

それだけに昨年7月の名古屋場所以来となる、本場所15日間を完走し「(疲れが)ないと言ったらウソになる。無事に終わったなという感じ。1日1日を無駄に過ごしていなかったのがよかった」と、心身への負担が大きかったことをうかがわせた。昨年10月に手術した両膝については「大丈夫です」と断言。名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)では、自身3度目の2場所連続優勝の期待が懸かる。

その名古屋場所では、関脇霧馬山が大関に昇進して臨むことになる見通しだ。同じモンゴル出身の先輩として「(大関に)上がるのは、もちろん努力を積み重ねたからのこと。(大関の地位を)維持するという思いでやれば、落ちることしかない。逆にその上(横綱)を目指して、という思いでやってほしい」と、エールを送っていた。