霧馬山改め、新大関霧島(27=陸奥)が誕生した。

日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇霧馬山の大関昇進を満場一致で決めた。モンゴル出身としては15年夏場所後の照ノ富士以来6人目。師匠の陸奥親方(元大関霧島)のしこ名を受け継ぎ、より一層の稽古に励み、先代霧島の届かなかった角界の頂点を目指す。

途中で少しかんでしまうトラブルにもめげず、熱のある言葉で決意を語った。新大関の霧馬山改め霧島は「大関の名を汚さぬよう、今まで以上に稽古をして頑張ります」と口上を述べた。入門から8年で迎えた晴れ舞台。伝達式後は「何回もやめて(モンゴルに)帰りたいという気持ちがあったけど、乗り越えてよかった」としみじみ言った。

師匠の陸奥親方のしこ名「霧島」を襲名することが決まった。夏場所14日目に師匠から打診されると「夢みたい」と二つ返事で応じた。同親方は「『いらない』と言われる心配もあった」と笑わせつつ「こんなにうれしいことはない」と声を弾ませた。

現役時代に同親方は筋骨隆々の肉体を武器にし「角界のヘラクレス」と呼ばれ、甘いマスクから「角界のアラン・ドロン」とも称される人気力士だった。30歳11カ月で大関昇進をつかむも、けがに泣き、92年九州場所で陥落。在位は16場所にとどまった。

31年後に再び誕生した大関霧島。同親方の「力強く相撲を取ってもらいたい」という思いから、しこ名霧島の下の名も「鉄雄」から「鉄力(てつお)」に改名した。これから目指すのは、師匠も届かなかった番付の最上位。同親方からも「稽古を今まで以上に頑張ればもう一つ上も夢じゃない。早く私の番付を超えて」と「横綱霧島」を期待された。

江戸時代から数え、過去73人しかいない横綱。大相撲の頂点に君臨する地位に到達するために、霧島は「稽古しかない」と力強く言い切った。初場所で125年ぶりの異常事態となった1横綱1大関は3場所で終わる。1横綱2大関となる名古屋場所からは看板力士として期待と責任を背負う。「一日一番、自分の相撲を取っていきたい」。師匠の名を汚すつもりはない。【平山連】

◆霧島鉄力(きりしま・てつお)本名ビャンブチュルン・ハグワスレン。1996年4月24日、モンゴル・ドルノドゥ生まれ。体験入門を経て15年夏場所で初土俵を踏み、19年春場所で新十両昇進。20年初場所で新入幕。優勝1回、技能賞3回、敢闘賞1回。愛称は「ハグワ」。好きなアーティストは長渕剛。得意は左四つ、寄り、投げ。186センチ、143キロ。