日本相撲協会は30日、大相撲九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。

現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。

【通算出場】

現役で歴代トップ10入りの力士はいないが、歴代10位の安芸乃島の1575回に迫るのが「鉄人」玉鷲だ。現在、現役トップの1553回で安芸乃島までは、あと22回。通算連続出場もかかっており、このまま出場し続ければ来年1月の初場所7日目にトップ10入りを果たす。

【通算勝利数】

現役最後の場所となった21年7月の名古屋場所で全勝優勝した横綱白鵬(現宮城野親方)が「1187勝」という歴代トップの大記録を打ち立てて引退した。歴代2位の元大関魁皇(現浅香山親方)の1047勝、同3位の元横綱千代の富士(先代九重親方)の1045勝までが「1000勝超え」を挙げ、大相撲史に偉大な足跡を残している。

現役1位は玉鷲(38=片男波)の783勝。歴代10位で860勝の元関脇寺尾(現錣山親方)までは、あと77勝で「鉄人」がどこまで迫れるか注目だ。

ちなみに、22年1月の初場所限りで引退した当時、現役2位だった序二段の51歳力士・華吹(立浪)は、通算勝利数が683。単純比較は出来ないが、元横綱朝青龍の669勝を14勝、上回る立派な記録を残した。

現役2位は高安(32=田子ノ浦)の703勝。3位は佐田の海(36=境川)の675勝で続く。

【幕内在位場所数】

歴代1位は元大関魁皇の107場所。白鵬は歴代単独2位の103場所で現役にピリオドを打った。それでも白鵬の、新入幕からの幕内連続在位は、史上初の100場所を超える大記録となっている(103場所まで更新)。現役1位は玉鷲の85場所で、歴代10位の若の里(現西岩親方)が87場所だから、来年3月の春場所まで在位すれば歴代10傑入りを果たす。十分に射程圏内だ。

【幕内出場回数】

白鵬が歴代8位の1282回で引退。あと1日だけでも土俵を務めていれば、歴代7位の元関脇安芸乃島(現高田川親方)の1283回に並んでいた。現役1位は玉鷲の1257回。9月の秋場所千秋楽で歴代10位の豪風(現押尾川親方)に並びトップ10入りを果たした。九州場所3日目に歴代9位の琴ノ若(現佐渡ケ嶽親方)に並び、4日目には単独9位に浮上する。来年1月の初場所では白鵬、安芸乃島をも抜き歴代7位に上がる可能性がある。現役2位は宝富士(36=伊勢ケ浜)の1050回。なお歴代1位は、元関脇旭天鵬(現大島親方)の1470回。

【幕内勝利数】

白鵬が1093勝で、2位の魁皇に214勝もの差をつけ歴代トップに立っている。歴代10傑には千代の富士(3位=807勝)、北の湖(4位=804勝)、大鵬(5位=746勝)、貴乃花(10位=701勝)といった優勝回数20回以上を誇る、そうそうたる横綱が名を連ねている。

現役1位は玉鷲の600勝、2位は高安の543勝、3位は碧山の504勝で、現役500勝超えはここまで。4位の宝富士(492勝)は、勝ち越せば区切りの500勝に到達する。

【通算連続出場】

初土俵以来、無休の「鉄人記録」。9月の秋場所中に富士桜(1543回)を抜き、玉鷲が1553回が歴代2位に浮上した。04年春場所の序ノ口デビューから足かけ20年の「皆勤賞」だ。昨年7月の名古屋場所はコロナ禍で13日目から休場したが、不可抗力のため連続出場記録は途絶えずに継続されていた。その先の歴代1位は、元関脇青葉城の1630回。あと77回で6場所を要する。

【幕内連続出場】

現役の宝富士が960回で歴代7位に名を連ねる。10年以上も連続して幕内で出場という立派な記録だ。今場所も千秋楽まで土俵を務めれば、歴代6位の貴闘力に並ぶ。また、現役2位の玉鷲も現在912回で歴代9位に名を連ねる。

【三賞受賞】

昨年九州場所で殊勲賞を受賞した高安(32=田子ノ浦)が12回受賞となり、栃東(元大関)、安美錦と並び歴代10位に名を連ねた。もう1回受賞して13回になれば歴代7位タイ(武双山、土佐ノ海、琴光喜)、さらにもう1回上乗せして14回になれば同4位タイ(鶴ケ嶺、朝潮、貴闘力)まで上がる。

現役で高安に続くのが、御嶽海の10回、3位は照ノ富士の9回。なお歴代1位は安芸乃島(元関脇)の19回。後述の金星獲得でも歴代トップで、大物キラーぶりがうかがえる。なお歴代2位は1差の18回で琴錦(元関脇)となっている。

【金星獲得】

昨年の名古屋場所で逸ノ城が、横綱照ノ富士を破り通算9個目の金星を獲得。三根山、玉乃海ら5人が名を連ねていた史上10位の仲間入りを果たしたが、既に引退している。

現役で金星獲得1位は、7個で遠藤(32=追手風)と北勝富士(31=八角)が並んでいたが、ここに昨年だけで4個を量産した玉鷲が割って入り、7個で並んだ。歴代10傑(9個)入りに3人は、あと2個の金星が必要だが、横綱が照ノ富士一人しかいないため、今場所で達成はできない。また北勝富士は返り三役の小結復帰を果たしたため、今場所の金星獲得はない。

今場所、歴代10傑入りに“王手”をかけるチャンスがあるとすれば、東前頭8枚目の遠藤と、西前頭12枚目まで番付を落としてしまった玉鷲。単純な番付編成だけを考えれば、今場所の横綱戦はない。照ノ富士が出場した上で、最終盤まで優勝争いに加われば、横綱戦のチャンスが巡ってくるかもしれない。

ちなみに金星獲得歴代1位は安芸乃島の16個で、2位で並ぶ高見山と栃乃洋に4個の差をつけている。