横綱照ノ富士(33=伊勢ケ浜)が現役引退を発表し、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)同席で、両国国技館で会見した。今後は伊勢ケ浜部屋の部屋付きで「照ノ富士親方」として、後進の指導にあたる。
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1度だけ、照ノ富士から電話をもらったことがある。相撲担当を離れて1年ほどたったころだった。「自分の取組の写真を何枚か、もらうことできますか?」。何事かと驚いたが「故郷モンゴルで子供たちを元気づけたい」という。もう少し具体的に教えて欲しいと頼んでも、詳細は濁して教えてくれない。だが、普段は気さくなしゃべり口だった照ノ富士のかしこまった口調に、何かただならぬ思いを感じた。
思わぬケガや病で本来の姿とは程遠い時期。上司に相談して写真十数枚を提供した。後から聞いたところでは、モンゴルで子供向けの相撲体験会があり、その際に掲示したそうだ。もしかしたら、再起に向け自身を奮い立たせたのかも…。
担当したころは、一気に名をはせた時代。大関どころか、そのまま横綱になりそうな勢いだった。急きょモンゴルに赴き、母オヨンエルデネさんに取材をさせてもらったほどだ。序二段まで番付を下げても、不屈の精神で最高位まで上り詰めた強さ。そのカムバックは衝撃だった。1度でいいから、横綱土俵入りを生で見たかった。【15~16年大相撲担当=桑原亮】

