大相撲の第74代横綱に昇進した豊昇龍(25=立浪)の新しい綱を作る「綱打ち」が30日、東京都台東区の立浪部屋で行われ、真新しい綱が完成した。初めて綱を締めた豊昇龍は、同じ出羽海一門の武蔵川親方(元横綱武蔵丸)から、雲竜型の横綱土俵入りを伝授された。一連の所作をすぐに覚え、習得力の高さを発揮した。31日に東京・明治神宮で、新横綱の推挙式と、公の場で初めてとなる奉納土俵入りが披露する。

   ◇   ◇   ◇

数人がかりで綱を腰につける綱締めの際、豊昇龍は笑みをこぼした。想像以上の締め付けが心地よい。「うれしい。ずっと夢に見ていたので」。完成したばかりの綱は長さ4メートル10センチ、重さ7・8キロで叔父の元横綱朝青龍と同じく太めの仕上がり。「重かった。それぐらい自分の責任がもっと重くなる」と実感を込めた。

同じ出羽海一門の武蔵川親方(元横綱武蔵丸)から雲竜型の横綱土俵入りを教わった。攻守兼備を表す型も叔父と同じ。新横綱は「難しかった」と話したが、露払いに明生、太刀持ちに平戸海を従え、1つ1つの所作をたちまち覚えていった。最大の見せ場のせり上がりは迫力十分だった。黄色い三つぞろえの化粧まわしは、武蔵川親方が現役時代に使用したもの。指南役を務めた同親方は「うまいよね。覚えるのが速い」と感心した。

豪ノ山、宇良、平戸海、御嶽海。綱を作る「綱打ち」では一門の力士たちが、紅白のはちまき姿で新横綱のために奮闘した。豊昇龍は「こんな俺でいいのかな」と照れつつ「うれしそうなみんなの顔を見て、もっと頑張らないと、と思った。一門の頭として頑張りたい」。早くも自覚十分だ。

31日に東京・明治神宮で新横綱の推挙式と奉納土俵入りが行われる。多くのファンの来場が予想される中、豊昇龍は「もう、緊張が始まっています」。ちょうど22年前の同じ日、第68代新横綱として明治神宮で奉納土俵入りを行った叔父もモンゴルから駆けつける予定。第74代の新横綱が堂々と土俵入りを披露する。【奥岡幹浩】

◆横綱朝青龍の奉納土俵入り 03年1月31日、約3000人の前で力強く雲竜型を披露。手順の間違いもなく、1分26秒で無事に終えた。前夜には横綱武蔵丸のビデオを見て、推挙式からの手順などを確認。「間違えずにやることだけを頭に入れていた。緊張で、いっぱいいっぱいだった」。

◆雲竜型 2種類ある横綱土俵入りの1つ。見せ場のせり上がりで右手を斜め前方に出し、左手の先をわき腹に当てる。右手が攻め、左手が守りの攻守兼備を表すとされる。綱の結び目の輪が1つ。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍らの型。もう1つは、両手を広げる不知火型

<立浪部屋の横綱>

◆第35代双葉山 1936年から39年まで不滅の69連勝を樹立。優勝12度で、泰然自若の土俵態度は「相撲の神様」と呼ばれた。引退後は時津風理事長として数々の改革を断行した。

◆第36代羽黒山 四つ相撲で双葉山と同時期に最高位に君臨。戦後の混乱期の大相撲を支えて、45年秋場所から47年秋場所まで4連覇。52年春場所では37歳にして全勝優勝を遂げた。

◆第60代双羽黒 2メートル近い巨体で早くから有望視された。86年秋場所で昇進も、部屋とのトラブルにより在位9場所で優勝経験のないまま、土俵を去った。